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アイ [小説]


 

 

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右目の調子がおかしかった。



最近、手入れを怠っていたせいかもしれない。



もしくは一昨日、勢いあまって床に落としてしまったのが原因だろうか。




とにかく、思い当たる節には困らない。

洗面所で顔を洗う際に確かめてみたら、やはり表面がかすかに曇っているように見える。

仕方ない、と俺は服を着替えると、近所にあたらしく出来たばかりの専門店に入っていった。

俺はしばらく品定めをしていたが、ふと気に入ったのを一つ見つけ足を止めた。



「この、アングロサクソンのブルーは何年ものですか?」



なかなかレアな逸品だった。



少々値は張るが、せっかくだしいつもとは違うのにしてみようか。



試着ができないかと店員に聞いてみると、快く承諾の返事。



遠慮なく右目にはめてみると、装着感も悪くない。




「じゃ、これ下さい」


レジで金を払う。



はずすのも面倒なので、着けたまま店を出た。



気のせいかもしれないが、新しいものはやっぱり気持ちがいい。



不意に見上げた、青い空。



見慣れたはずのそれもまた、心なしかいつもより青く感じられた。






タグ:アイ 小説
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