イニシャル7 [小説]
頭はガンガンするし、ハンドルを握る手にも力が入らなかった。
「しっかりしろ」
オレは自分に言い聞かせて、シートに深く腰を掛け直した。
目の前のガラス越しに、見慣れた光景が過ぎ去ってゆく。
大音量の音楽が鳴っているにも拘わらず、
眠気でまぶたが閉じそうになる。
必死に堪えようとするが、
何度か強弱を付けて襲い掛かってくる睡魔に、
ほんの一瞬意識が途切れた。
「まずい」
慌ててまぶたを開けると、
目の前には……
「うわっ、当たる!」
身体が強張り、足に力が入る。
景色がスローモーションになり、
その瞬間。
ガラス越しの画面には、7が三つ揃っていた。
2015-05-30 00:21
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