橋 [小説]
夜風にあたりふと目を閉じればそこには一つの橋。
橋の中に水面に映る月にあたり鈍色の衣を纏った方がおられる。
その橋の水面には一面に蓮の葉が浮かび、紅色に咲く花が咲いている。
その方とは橋の中でしか会えずに触れることもできない。
すすきが流れる夜、また橋のそばに。
その方は同じように橋の中におられるも、左に蓮の葉を持ち水面に浮かぶ下弦を見つめられている。
橋の中で触れると、鈍色のの衣の内から香が満ち、やがてその方から蓮の葉を渡される。
するとその方は顔を見、もと来た道を戻られようとされた。
蓮の葉を持った私もその方の岸に渡った。
「ただいま奥方様がおかくれになられました。」
2015-05-31 04:32
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