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橋 [小説]


 

 

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夜風にあたりふと目を閉じればそこには一つの橋。



橋の中に水面に映る月にあたり鈍色の衣を纏った方がおられる。

その橋の水面には一面に蓮の葉が浮かび、紅色に咲く花が咲いている。

その方とは橋の中でしか会えずに触れることもできない。



すすきが流れる夜、また橋のそばに。




その方は同じように橋の中におられるも、左に蓮の葉を持ち水面に浮かぶ下弦を見つめられている。

橋の中で触れると、鈍色のの衣の内から香が満ち、やがてその方から蓮の葉を渡される。

するとその方は顔を見、もと来た道を戻られようとされた。



蓮の葉を持った私もその方の岸に渡った。




「ただいま奥方様がおかくれになられました。」






タグ: 小説
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