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紫陽花 [小説]


 

 

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この時の、雨粒一つさえ見逃さないように、私は五感を研ぎ澄ます。



あなたの横を歩きながら、永遠に時が止まればいいのに…と。



ふと、立ち止まる。



目の前には雨に濡れ、雫をたっぷり抱えた花。



「奥さん、よかったら持ってって」



あなたは、私の代わりに愛想よく紫陽花を受け取る。



「奥さん、だって」



ちょっと、冗談ぽく言ってみたものの、あなたは短く笑っただけ。



かわりに、つないだ手を強く握った。



紫陽花には毒がある。



そう、聞いた事を一人残った部屋で思い出す。



花びらを、そっと一枚ちぎりとり、小豆と一緒にゼリーに入れたら綺麗だろうなぁと眺める。


気がつくと雨は止み、青空が広がっていた






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