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腹話術師 [小説]


 

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旅から旅への売れない腹話術師がいた。


見知らぬ町をトボトボと今日も旅を続ける。



話し相手は相棒の腹話術人形だけ。


そんな腹話術師の消息が途絶えた。


公演先は穴を空けられ困り果て連絡を取り合ったが一向に行方は知れなかった。


その後

腹話術師は、死体として発見された。


とある町のホテルの一室。


隣室の客がヤクでもやっているのか一人で言い争う腹話術師の声を聞いていた。


第一発見者によると死体は洋服掛けに引っ掛けられたその姿が、まるで糸の切れた操り人形のようだったという。



数十年の時が流れ最果ての町のゴミ埋め立て地。


消えたあの腹話術人形は痩せて年老いた姿でなぜか発見された。






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