ビー玉 [小説]
ラムネの瓶に入っているビー玉を集めるのが大好きだった。
あれから15年経ち、集めていたビー玉も未だ木箱にきちんと整列している。
最近ではラムネを売っているお店が減ったり、ビー玉が取れない仕組みになっていたりしていて胸が痛い。
その度に集めたビー玉を部屋一面に散りばめ、大の字に寝転ぶ。
太陽の光が屈折してちょっとしたプラネタリウムになる。
同じように見えるビー玉だけど、気泡の大きさや無数の水色が散らばっていて何度見ても癒される。
同時に自分の中にくぐもっている物がゆっくりと溶けていく。
「ねぇちゃん、これやるよ。集めてるだろ?それと・・・幸せになれよ。」
「うん・・・。ありがとう。」
いつから集めていたのか10を越えるビー玉が透明な袋の中で喜びの輝きを放っていた。
そう、私は明日結婚をしてこの家を出る。
その上相手の仕事の都合で海外へ行く事が決まっていた。
弟は私が、ぎりぎりまで海外へ行くことを告げなかった事を根に持ちここ3日ばかり口を利いてくれなかった。
私はそれが唯一の心残りで、どう仲直りするかタイミングを計っていたところに突然の祝福。
「いつの間にか抜かされちゃった。」
弟がくれた宝物を抱きしめながら、私は声を出して泣いた。
2015-06-16 00:33
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