SSブログ
 
 

ビー玉 [小説]


 

1229978_355178997982457_5815053372463306477_n.jpg


ラムネの瓶に入っているビー玉を集めるのが大好きだった。

あれから15年経ち、集めていたビー玉も未だ木箱にきちんと整列している。

最近ではラムネを売っているお店が減ったり、ビー玉が取れない仕組みになっていたりしていて胸が痛い。

その度に集めたビー玉を部屋一面に散りばめ、大の字に寝転ぶ。

太陽の光が屈折してちょっとしたプラネタリウムになる。


同じように見えるビー玉だけど、気泡の大きさや無数の水色が散らばっていて何度見ても癒される。

同時に自分の中にくぐもっている物がゆっくりと溶けていく。


「ねぇちゃん、これやるよ。集めてるだろ?それと・・・幸せになれよ。」



「うん・・・。ありがとう。」



いつから集めていたのか10を越えるビー玉が透明な袋の中で喜びの輝きを放っていた。

そう、私は明日結婚をしてこの家を出る。


その上相手の仕事の都合で海外へ行く事が決まっていた。


弟は私が、ぎりぎりまで海外へ行くことを告げなかった事を根に持ちここ3日ばかり口を利いてくれなかった。


私はそれが唯一の心残りで、どう仲直りするかタイミングを計っていたところに突然の祝福。


「いつの間にか抜かされちゃった。」


弟がくれた宝物を抱きしめながら、私は声を出して泣いた。






nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。