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エコロジー [小説]


 

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ある研究者は思いついた。


絶対に世の中にゴミが散乱せず、世界中がクリーンでいられる方法を。


男はそれを本に著すことにした。


発売前から大々的に宣伝をし、テレビでもその本の大体の内容を説明した。


日本では、幾らか名のある研究者であったので、多くの人が注目をした。


最近の若者の間では、エコに関する関心が高まっているようで、

テレビを見た視聴者の若いのから、幾らか反響の電話があったし、書店には予約が入りはじめていた。

街中の広告には、「日本から世界へひろめるエコ」といった具合の安っぽい文句がでかでかとあふれている。

数日後、本が発売となった。


街をあるけば、大概の人が同じ本を読んでいる。


電車の中では、本を持った全く違う年齢層の人々が議論を熱く繰り広げている。


いままで見られなかった光景。


日本人どうしの関わり合いを増やす手伝いとなった。


ある政治家は「本が大量に売れ経済が幾らか潤った。」と言った。


例の著者は高級車を乗り回し、大きな家を建てた。

エコ御殿ともいわれた。


なにもかもが日本のなかで上手くいっていた。



アマゾンの密林にて。


「なぁ、最近、木の伐採量が多くないか。」


「なんでも、ニホンとかいう国で本が売れているらしい。」


現実はいつも遠い所にあるものだ。






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