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極楽で御座います [小説]


 

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ここは美しい極楽で御座います。


何時ものようにお釈迦様は青い玉のような花をつけた水蓮の池の前で佇んでいらっしゃいます。
 

すると、裏口から血の池地獄の使いだと言う鬼が二匹お釈迦様の前に現れたので御座います。


「お釈迦様、困ります。勝手に銀の糸をお垂らしになり、罪人を逃がそうなどとされては」

と鬼壱がそう言われたのです。


「あのことで多くの罪人が動揺し、血の池の管理が難しくなっているのです」

鬼弐がそう言われました。


「そう言われてもなあ、いわゆるひとつの報恩だよ」



「いずれにしましても一度地獄の方にご足労願わにゃなりませんな。」



と鬼壱が言われると


「それじゃ失礼ですが御両手を前に」


と鬼弐が腰巻から手錠を取り出して言われるのです。


「おい、おいこれじゃ本当のおしゃかしゃまだよ」


とお釈迦様はやや渋い顔をされて仰られました。



水蓮の玉のような青いい花の上で御腹の虫もくるる、くるると鳴いているところを見ると極楽もそろそろお昼のようで御座います。






タグ:小説 極楽
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