変なオジサン [小説]
もしもしそこへ行く若い人、あなたじゃ、あなたじゃよ。
あなたにとてもおいしい話あるよ。
俺は突然、変な爺に話しかけられたと思い、後ろを振り向いた。
俺か、俺のことか。
そうじゃ、あなたの他に誰がおる。
俺は回りを見たがその変な爺の他には俺しかいない。
何だ、爺さん。
あなたにとてもいい物上げるよ。
この金の延べ棒と、先々自分の身に起こることを知る力だよ。
欲しいだろう。
俺は爺さんの言うことを聞いたさ。
だって得だもん。
金の延べ棒と、先々俺の身に起こることを知る力だって言うんだからさ。
でも金の延べ棒を貰った瞬間、俺はぞっとしたんだよ。
確かに自分の身に起こることが分かってさ。
俺は明日死ぬってことが体の底からはっきり分かったんだよ。
俺は焦って、爺さんを探したんだけど、もう姿が見えないんだよ。
俺が皆に言えるのはたった今だけさ。
明日は俺のお通夜だよ
.
だからさ、俺が言いたいのは、おいしい話にゃ気を付けろってことだよ。
でも金の延べ棒はおふくろにプレゼントするよ。
2015-06-26 04:26
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