贅沢は嫌いな神様 [小説]
私は贅沢が嫌いだ。
だから、いつも安い洋服、安い食べ物、安い家具をそろえた。
安いものばかり揃えたが、私が思ったよりも、貯金は増えなかった。
あちこちから安いものをそろえるので、逆に、お金がかかってしまったのだ。
しかし、問題は、お金のことではない。
贅沢は、人の心を腐らせる。
だから贅沢に慣れてしまった、この社会は腐っているのだ。
そこで、私は考えた。
世の中から贅沢なものがなくなればいいのだ。
私は、さっそく科学者としての知識を生かし、この世から贅沢なものを無くす機械をつくり、その機械を起動した。
徐々に、贅沢なものが姿を消していく。
「まさか、何もかも無くなるとは予想外だった人類の創造した物、全てが贅沢だったというのか?」
それが、私の人間としての最後の言葉だった。
人類の創造したものは全てなくなり、地球は緑の惑星に戻った。
そこに人間の姿は無い。
2015-07-05 03:51
nice!(0)
コメント(0)
トラックバック(0)
コメント 0