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矢印 [小説]


 

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僕が道を歩いていると、足元に矢印があった。


ヒマだったので、僕はその矢印の指すほうへ歩いてみることにした。


30メートルほど歩くと、また矢印があった。


僕は矢印の指すほうへ歩いた。


次の交差点では右へ。


次の角では左へ。


矢印は電柱や街灯、フェンスやブロック塀や店の看板。


至る所に貼られていた。


そして僕は、矢印の指すほうへひたすら歩いた。


道が二股に分かれているところで僕は立ち止まった。



いくら見回しても矢印がない。


しばらく立ち尽くしていると、後ろからバイクの音が聞こえた。


僕は少し道の端によけた。


矢印マークの付いたヘルメットが、僕を追い越していった。


僕はまた、矢印の指すほうへ歩いた。


右へ。


左へ。


次の矢印は、民家の玄関扉に向かって指していた。


僕は扉を開けた。



「ただいま」


「あら、遅かったのね。肉まん、あるけど食べる?」



「食べる」






タグ:小説 矢印
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