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万有引力 [小説]


 

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あれはそう、今日のように日差しの気持ちいい日だった。

その時期は次の研究テーマが思いつかなくてね。

気分転換にお気に入りのリンゴの木の下で昼寝していたんだよ。


うとうと気持ちよく眠りかけた時だった。

「ねぇリンゴが欲しいの。取ってくださる?」と声をかけられてね。

顔を挙げると、こぶりな女性がこちらを覗きこんでいたんだ。


「リンゴ、取ってくださる?」

と再びその麗しいレディが言うものだから、私は立ち上がってそのレディの期待に応えようとしたのさ。

だが、残念ながら私の身長ではリンゴに手が届かなかったんだよ。

私はその女性に気に入られたいものだから、「少々お待ちを」なんて強がって必死に頭をひねったよ。

どうすればあのリンゴが取れるのか考えたのさ。


そんな私の気持ちが通じたのか、私の頭にリンゴが一つコツンと落ちてきた。


私は、偶然に感謝しながら、しかしそんな素ぶりは見せずに、「これをどうぞ、お嬢さん」そう言ったのさ。
 


『では先生はその時に万有引力を閃いたのですね?なんと素晴らしい!』



いや、それを思いついたのはそのレディが私の頬にキスしてくれたときさ。






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