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pomera [小説]


 

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何故、作家が小説を書けるのか不思議でならなかった。



頭の中にある不定形のもやもやとした曖昧な、

そしてそのままでこそ魅力のあるものを,

その紙の上に書いて定着させてしまう不安に、作家はいかに耐えるのか。


書かれる前には,

すべてが微妙な色合いを保って優雅に揺れ動いているものを、

書く事によって、一つの色に決定してしまう。


そこで、失われる諧調を惜しんでいたら筆は進まない。


そこのところのあまりに原理的な矛盾をどう乗り越えるのか。


それがどうしてもわからなかった。


今現在、創作を楽しめるのは。


全ての作品は仮のものであるという仮説の上で,

一つ一つで足りなかったり、言い間違いたり。



もしくは

筆に乗りきれなくて、捨てたりしたものへの無限の未練を、

そのまま先への力にするということだった。

書き続ける事が何より大事なのだ。
 
 
 
 

 

写真は愛機、pomera DM10






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