pomera [小説]
何故、作家が小説を書けるのか不思議でならなかった。
頭の中にある不定形のもやもやとした曖昧な、
そしてそのままでこそ魅力のあるものを,
その紙の上に書いて定着させてしまう不安に、作家はいかに耐えるのか。
書かれる前には,
すべてが微妙な色合いを保って優雅に揺れ動いているものを、
書く事によって、一つの色に決定してしまう。
そこで、失われる諧調を惜しんでいたら筆は進まない。
そこのところのあまりに原理的な矛盾をどう乗り越えるのか。
それがどうしてもわからなかった。
今現在、創作を楽しめるのは。
全ての作品は仮のものであるという仮説の上で,
一つ一つで足りなかったり、言い間違いたり。
もしくは
筆に乗りきれなくて、捨てたりしたものへの無限の未練を、
そのまま先への力にするということだった。
書き続ける事が何より大事なのだ。
写真は愛機、pomera DM10
2015-07-05 04:07
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