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悲しいネジ巻き屋 [小説]


 

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ネジ巻き屋がいなくなった世界では、

誰かがネジを巻かなければ、みんな止まってしまうのだ。

だけど、ネジ巻き屋は死んでしまった。


誰かに殺されてしまったのだ。


みんなネジ巻き屋を殺した犯人を捕まえたいと思っているけれども、

探偵のネジもきれてしまったから犯人は探せないのだ。


もしかすると、犯人のネジも切れてしまったのかもしれない。

本当は、ネジ巻き屋になるには生まれつきの才能がいるのだけれど、僕は努力した。


結果、僕はネジ巻き屋になれた。


それは奇跡といっていいほどの出来事だった。

繰り返しになるけれども、ネジ巻き屋になるには生まれつきの才能がいるのだ。

何故ならば、ネジ巻き屋は自分のネジを巻かなくていいように、ネジを持たずに生まれた子供が選ばれるのだから。

だから、僕のネジがきれてしまったら、誰がネジを巻くのだろう? 


僕の関節から錆び付いた音が聞こえ始める。






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