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元気ですかー [小説]


 

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「ただいま。」


ルームメイトの彼女が帰ってきた。 



「お帰りなさい。」

と言いながら玄関へ向かい、荷物を受け取る。



「紅茶、飲む?」


彼女が聞いて、

「いいえ、今はいいわ。ありがとう。」

私が答える。



リビングで、彼女が買ってきてくれたマニキュアを塗る。


色はオレンジ。


左手の小指から始めて、今は親指。



「今日は何曜日?」

ソファに座って紅茶を飲んでいた彼女に突然聞かれた。


「月曜日よ。」

壁に掛かっているカレンダーを見ながら答える。


「明日は火曜日よね?」


「ええ。」


「そうよね、月曜日の次は火曜日よね。」


「当たり前。」


「そうね。」


ちらり、と彼女の方を見る。



何食わぬ顔で紅茶を飲んでいたけれど、少し怖がっているということを私は知っている。

 

左手を塗り終えて、今度は右手の爪を塗り始める。


まだ乾ききっていない左手の爪に注意しながら。



「今朝焼いたフルーツケーキは戸棚の二段目に入っているわよ。」

 

右手は親指から塗り始まって、中指まできたところで唐突に彼女が言った。



「そう。ありがとう。」


今日は、彼女は早く寝てしまうだろうけれど、私はきっと寝不足になるだろう。

 

真夜中。時計の針が全て十二に集まる時。


「こんばんは。」

 

静まり返ったキッチンの、戸棚の隙間に声をかける。



「どーも こんばんは。」

隙間の暗がりから声が返ってくる。

 

彼女はあの人が苦手らしい。


「今日はフルーツケーキがあるのよ。」


だからいつも、あの人とお話するのは私だけ。






タグ:小説 元気 猪木
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