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差別 [小説]

 

 

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 神様は、人間達の間で行われている差別をなくそうと考えた。




その為には全人類が平等でなければなるまい。



神様は、人間達に不平等であることはなにか、と聞いた。



人間達は次々と言った。




「ルックスのいい奴だけがモテて、不細工はモテない。これは不平等じゃないか!」



神様は、どんなルックスの人間でもモテるようにした。



「性格のいい奴だけが好かれ、性悪は嫌われる。

これは不平等じゃないか!」



神様は、いかなる人間でも好かれるようにした。




「仕事のできる奴だけが出世できて、無能者は出世できない。

これは不平等じゃないか!!」



神様は、すべての人間に出世のチャンスを与えた。





「なぜ差別することがいけないんだ。

これこそ差別主義者に対する差別じゃないか!不平等だ!」



神様は、ノアの洪水の準備を始めた。


紫陽花 [小説]

 

 

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この時の、雨粒一つさえ見逃さないように、私は五感を研ぎ澄ます。



あなたの横を歩きながら、永遠に時が止まればいいのに…と。



ふと、立ち止まる。



目の前には雨に濡れ、雫をたっぷり抱えた花。



「奥さん、よかったら持ってって」



あなたは、私の代わりに愛想よく紫陽花を受け取る。



「奥さん、だって」



ちょっと、冗談ぽく言ってみたものの、あなたは短く笑っただけ。



かわりに、つないだ手を強く握った。



紫陽花には毒がある。



そう、聞いた事を一人残った部屋で思い出す。



花びらを、そっと一枚ちぎりとり、小豆と一緒にゼリーに入れたら綺麗だろうなぁと眺める。


気がつくと雨は止み、青空が広がっていた


与沢翼 [小説]

 

 
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「世の中の大抵の悩みはお金で解決できる」



私がそう言い張ると、あなたは首を振る。




「違うね」




「違わない!」


私はむきになる。





「違うんだよ」



あなたは、原稿を書く手を止め、子供に言い聞かせるように、包み込むようにそう言う。





「違わない。いつでも私が間違っているみたいに言わないで。私が私が、、いつも心が不安定なのも、全部全部、お金があれば解決できるのよ。だから違わないの」



あなたはため息をつく。


螺旋 [小説]

 

 

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「見たまえ。これが、人類の英知を結集して作られた無限階段製造機だ」





「す、素晴らしい 階段が次々と作られている。
しかし、ですよ。これでは、地球が階段で埋め尽くされてしまうのではないですか?」





「安心したまえ。あれを見なさい」



「おおっ。階段が次々と飲み込まれていく。

博士、あれは、一体、なんですか?」




「あれは、永久階段破砕機だ。あれに、飲み込まれた階段は、瞬時に破砕され、
無限階段製造機へと送られ、それを材料として、無限階段製造機が、また、階段を作るのだ!」





「なんと素晴らしい発明品なんだ! これぞ、究極のリサイクル!」




「はっはっはっ、どうだね、どうだね」



「博士、でもこれ。上で収納した階段を、下に持って来て、下から出した方が良いんじゃないですか?」





「うむ。時代はリサイクルより、リユースという事か」


博士はそう呟きながら、傾いたメガネを指で揃えた。


胸の痛み [小説]

 

 

 
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朝目覚めると胸元にぽっかりと穴があいていた。



どうしてかはわからないけれど、左胸の丁度心臓のあたりがからっぽで、



ためしに手をいれてみると自分の背中まで抜けていた。




悲しい気がしたけれど、胸が痛むことはなかった。


とにかく会社へ行くためパジャマからスーツに着替える。




服を着ると穴は見えないし、あることもわからなくなった。



一日、会社で過ごしている間も穴はあいたままだった。



帰り道は普段より10分長くかかる道を選び、胸の穴のことを考えた。





帰りも誰かと居た気がするが、胸が静かで思い出せない。


私は誰と居たのだろう。


昨日まではドキドキする度、幸せだったように思う。



胸はぽっかり空いている。


心がなくなってしまったみたいだった。




夜、眠る前にみてもやはり空洞のままだった。




ここにはきっとあの人がいたのだ。



ああ、それがきっと正しい。



今の私では、この穴が埋まるなんて考え付かないけれど、

またドキドキが訪れたとき、この胸はいっぱいになるのだろう。





そう思うけれど、あたたかい涙がこの空洞をほんの少し埋めてくれるようだったから、静かに静かに頬を濡らした。


タグ:小説 痛み

 [小説]

 

 

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夜風にあたりふと目を閉じればそこには一つの橋。



橋の中に水面に映る月にあたり鈍色の衣を纏った方がおられる。

その橋の水面には一面に蓮の葉が浮かび、紅色に咲く花が咲いている。

その方とは橋の中でしか会えずに触れることもできない。



すすきが流れる夜、また橋のそばに。




その方は同じように橋の中におられるも、左に蓮の葉を持ち水面に浮かぶ下弦を見つめられている。

橋の中で触れると、鈍色のの衣の内から香が満ち、やがてその方から蓮の葉を渡される。

するとその方は顔を見、もと来た道を戻られようとされた。



蓮の葉を持った私もその方の岸に渡った。




「ただいま奥方様がおかくれになられました。」


タグ:小説

嫉妬 [小説]

 

 

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「悪い、仕事でそっち行けなくなった。じゃ、そういうことで」

それは珍しくも何ともない展開だったが、彼と付き合って1年たっても私はまだそれに慣れないでいた。




約束をすっぽかされた夜はいつも朝まで眠れない。



怒りとも違う何か虚無的な感情が私に眠りに落とさせない。



そのとき、メールの着信音が鳴った。



がばっと起き上がり、メールの表示を見つめると、そこには昔少しだけ付き合ったことのある男の名前が記されていた。



私は拍子抜けしたが、とりあえず内容だけ見ることにした。



メールには「久しぶり。元気? もし今夜暇だったら飲みにでも行かない?」とだけあった。



私はケータイを下唇に当てて少し考えた。


よく考えてみるとこの男となぜ別れたのかわからない。


別に何の過不足もない男だったのに。



私はケイタイのボタンに指を走らせた。




「ごめんなさい。今夜は彼氏が遊びに来るから出られないの。また今度誘ってね」


別れる理由すらないほど思い入れのなかった男と飲みに行くより、ひとりで過ごしていた方がいい。




彼のいないこの夜を



この甘い不在を。


タグ:小説 嫉妬

 [小説]

 

 

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「あ、もうこんな時間だ。じゃあ、いってくるね。」




「いってらっしゃい。」



私は彼と一緒に住んでいます。



でも恋人ではありません。



家族でもありません。



・・・・わたしは好きなんですけど。



そろそろ彼が帰ってくる時間です。



ほら、彼の足音。




「ただいま。」


「入って。」


「失礼します。」



綺麗な女の人でした。




彼と楽しそうにおしゃべりをして、帰っていきました。




「ごめんね、遅くなったね。ご飯にしよう。」



今日の夕御飯は。



彼は、パスタとスープ。



私は、水と肥料少し。


今度生まれ変わったら、人間になりたい。


ホスト [小説]

 

 

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「なぁ、自分で有名だと思ってる奴の目の前で、お前誰?って言ってやんのってめちゃくちゃ気持ちよくねぇ?」





「お前、結構ひどい奴だな」



「いやいや、だって相手だって自意識過剰に陥ってんじゃん?それを気づかせてあげるんだから、むしろ良い奴の部類だろ」





「うん……まぁ……そうだな」




「だろ~?お前も一回やってみろよ。絶対ハマるぜ」




「つーかさぁ」




「うん?」



「お前誰?」


タグ:小説 ホスト

ありえない葬儀 [小説]

 

 

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20XX年


ネット葬は隆盛を極めオンラインは死者のアカウントで溢れかえった。




安らかに眠る死者達との思い出の日記。



微笑むヘッダー画像と遺族達は、うららかな午後を共有するはずだった。



悪化した状況が確認出来た時には、全てが遅すぎた。




トップ画像には模倣犯のイタズラと思われる、日々腐敗していく死者達の顔貌が大写しになり。


泣き叫ぶ遺族を含む国民は大混乱に陥った。



加えて死者達のアカウントによる書き込みが洪水のように押し寄せ、内容たるや某掲示板の比ではない下劣さを極めた。


タグ:小説 葬儀
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