ポイント お得 [小説]
待合室はいつものように混雑していた。
そういえば最近、風邪が流行ってるといってたっけ。
そんなことを考えていたら、俺の名前が呼ばれた。
診察室に入る。
「やはり、肝臓の数値がよくありませんね」
「そうですか……」
神妙な顔つきでうなづくしかなかった。
結局のところ、お酒を控えろってことなんだろう。
それは十分に分かっている。
足取り重く診察室を後にした俺は、今度は会計の前で順番を待つ。
番号を呼ばれ会計を済ませると、お釣りと一緒にポイントカードも返ってきた。
確認すると、あと13ポイントで人工肝臓と交換できるところまで貯まっていた。
こないだ人工すい臓と交換したばかりと思っていたのに、意外と貯まるのが早い。
心臓の方も調子が悪いけれど、あと40ポイント必要なことを考えると、やはり肝臓の方が先か。
必要なポイントを改めて確認してから、俺はカードを財布にしまった。
2015-05-29 10:00
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