メリーメリー [小説]
「ねぇねぇ、起きてよ」
「ねぇ?ちょっと、なんだか揺れてない?」
「なにー、うわっ! おいっ、地震だっ」
ん?
待てよ。
今日は二十四日じゃないか。
「なんだよ、寝る」
「ちょっと!逃げなきゃ!」
「あーそっか、お前知らなかったな。そこの窓、開けてみ」
彼女は首を傾げ、下着姿のままベッドから抜け出した。
細い腕が、カーテンをかき分け、模様の入った曇りガラスをガタガタと開けた。
途端。
赤や青の下世話なネオンの光が部屋の中にこぼれる。
「何これ? ラブホテル?」
「そ。クリスマスイブやらバレンタインデーやら。イベントの日は揺れがすげーんだよ」
「まっ、築50年のボロマンションだからなー」
彼女は冗談でしょ?と言わんばかりの表情だが、
こいつはマジなのだ。
えっ その後どうしたかって?
当然
あとは揺れに身をまかせたさ。
2015-05-30 00:55
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