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セツナ [小説]


 

 

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 「ビール冷えてる?お、入ってる入ってる」




「グラス忘れてない?グラスが冷えてなきゃ台無しなんだよなー」




「よいしょっと」



トクトクトクトク

グビッ。。

ぷはぁー



「ん、どうした。。お前?今日はやけに静かじゃないか」




「俺か? そうなんだよ、今日も大変だったんだぜ」




「まったく毎日毎日参るよ。。」




「ん、どうした? そんなに冷たい頬をして」




私は写真立ての中で微笑む妻の頬に、そっと手を触れた。



冷えたガラスの感触が、指先を通して心に突き刺さる。



私の言葉に優しく相槌を打ってくれた妻はもういない。



今日も散らかったダイニングに響くのは、ただ私の独り言のみだった。






タグ:切ない 小説
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