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遺言 [小説]


 

 

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「私が死んだら、その灰を灰色の絵の具にして、私の肖像画を描いてほしい」


そう言い残して、夫はこの世から去った。


私は遺言通り、絵の具を準備して、有名な画家に肖像画を頼んだ。

ただ、気味悪がって断られると思い、灰色の絵の具のことは黙っておいた。


やがて肖像画が完成し、家に飾ることにした。


しかしそれからというもの、夜中に声が聞こえたり、

肖像画の顔つきが変わったりなどと、家族が気味悪がるようになった。



他に相談できる人もいないので、画家にすべてを打ち明け、どうすればよいか尋ねた。

すると画家は考え込んで、こう言った。



「おかしいですねぇ。灰色は使わなかったのですが‥」






タグ:小説 遺言
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