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花 [小説]


 

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世界から花を愛する文化が消えようとしていた。
 


人工物の方が花より綺麗だから。
 

だから、人は選んだ。
 

花など、遺伝子だけ残して、全滅させてしまうと。

そして、造花がつくられた。
 

世話のかからない花。
 

絶対に枯れたりしない花。
 

未来にふさわしい花。
 

その造花が、なぜか壊されたのに復元されていく。
 


どこかにいる魔術師が花を守るために、勘違いして。
 

すべての造花を生き返らせているのだという。

 

ああ、
 
わたしのまわりにあったすべての天然の花がいっせいに枯れ。
 

すべての造花が咲き誇る。
 

その造花は一瞬で枯れ果ててしまい、涙するわたしを包みこむように、造花が蘇生していった。
 

輝く星空よりも綺麗な、進化の法則でつくられた異物を魅了するための機能、花。

そして、人類の最後には、天然ものの花がいっせいに咲き誇った。
 

人類を称える花も、人類を軽蔑する花も、みんなが一体となって、咲き誇った。
 

人類は天然物の仲間だから。






タグ:造花 小説
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