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やっかいなパンドラ [小説]


 

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パンドラの箱を開けました。


パンドラが箱を開けると、中から少し小さな、箱を持ったパンドラが出てきます。

その小さなパンドラを、だまし、すかし、滔々と因果を含めて箱を開けさせると。


やはり、さらに小さな、箱を持ったパンドラが出てきます。


それを何度も繰り返します。


いつまでも、どこまでも、箱を持ったパンドラが出てきます。



箱とパンドラの大きさはあまり変わらないくらいですので、縮小率はある程度ゆっくりとしています。


15人のパンドラと15個の箱がそろったあたりで、初期のパンドラたちは少し可笑しさがこみ上げてくるのを感じて、目を見合せ微笑を浮かべます。



最初のパンドラはちょっと気になったので自分の背のほうを確認しますが、自分よりも大きなパンドラなんていうものはそこにはいません。


少しがっかりしつつも、やはり私が最初のパンドラなんだと安心します。

半日ほどその手順を続け、もうそろそろいいでしょう、と大勢のパンドラたちは話し合います。

それぞれの箱に帰ろう、と。


「わたしはどこに帰ればいいのよ?」


そう言って、最初のパンドラが議論をまぜっかえします。






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