予知能力 [小説]
私には、予知能力がある。
事前に、正確に結果を知ることが出来る。
ただそれが、ほんのちょっとだけ先のことなのである。
実に腹立たしい。
ロトの数字もわかるし、競馬の着順もわかる。
ただそれが、抽選の直前であったり、スタート直後であったりするのだ。
最悪なのは、五感に重複して感じてしまう事だ。
「ちょっとチクッとしますよ。」
私にとって注射は正確には「チクッと、チクッと」である。
初めて口にする料理も、「おいしいけど、さっき食べたみたい。」
好きな曲を聴くときも、聞き流すようにしないと、曲がみんな輪唱。
好きな娘に告白したら、「ごめんなさい。」「ごめんなさい。」二度ふられる。
結果がわかっているのだったら、避けられることもあるのではと思われる方もいるのでは。
行動あっての結果である。
裏返しのトランプをめくれば、絵柄、数字を事前に言い当てることができる。
時に、絵柄、数字がわからないことがある。
そう、トランプをめくらなかった結果だ。
結果に左右される行動なんて、ありえない。
得したこと・・・・・。
痛みを覚悟する間があること。
おいしいものは、二度おいしい。
結果を引きづらないこと。
喜びを二倍感じること。
2015-06-14 06:47
nice!(0)
コメント(0)
トラックバック(0)
コメント 0