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ネガティブな旅立ち [小説]


 

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旅立つ人、見送る人

どっちがつらい、どっちが痛い?



僕には進む強さも、待つ優しさも無く

敷かれた白線の手前で持ち上げた足を、
踏み込む事も戻す事も出来ず


「行動を起こした先の自分」を語っては、今の姿込みで苛立ちに舌を打つ



「切符が発行されなければ、鞄に詰めた白紙と、筆箱の中にしっかり入れてある鉛筆で、行き先を明確に記せばいいじゃないか」


当たり前のように、遙か先に立つ友人は言う


行き先が、分からないんだ

不機嫌に訴えてみたが、それこそ当然のように友人は告げる



「教科書に書いてあっただろう」


生き方、考え方は全部、教科書に載っていた。


その通りに生きれば、それは素晴らしいと褒められ

それに反すれば、あいつはダメだと罵られる


確かに僕も習った


でも、僕は当時から出来が悪く、物覚えも悪かったから、教科書の内容を殆ど覚えていなかった

せんせいの教え方が悪かったんだよ


投げやりに放った言葉に「人のせいにするなよ」と、恐らくその友人ではなくても
誰でも言いそうな言葉が返ってきた


そうだね

僕の声は友人には届かなかった


友人はすでに「前」を向き、背筋を伸ばして歩き出していたから

切符の話で、僕が「そうだね」と言っていたら、友人はなんと答えただろうか


未だに宙をさまようつま先

その話も込みで、もう一度、舌を打った






タグ:小説 旅立ち
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