特別なレストラン [小説]
男は、とあるレストランの前に立って居た。
何やらここのレストランは特別なんだと言う噂を聞いた。
男はどんな美味しい食べ物が出るのか、また何が特別なのかに興味がありここへ来た。
レストランの外装は、いかにも高級なレストランという感じだった。
しかし男は引け目を感じてはなかった。
「金なら沢山ある。大丈夫だ。」
そう思いレストランに入った。
入った所に受付があり、受付の男が言う。
「いらっしゃいませ。当店は予約など一切しておりません。ただし当店に入る為には特別でなければ入る事が出来ません。お客様は特別ですか?」
「特別?オレが特別かどうかか?特別じゃないと入れないのか?」
「はい。お客様自身が特別かどうか分かりさえすれば入れます。当店は特別ですから。」
「金ならあるぞ?それでも入れないのか?」
「はい。お金は必要ありません。特別であればどなた様も無料で食事が出来ます。」
男は驚いた。
こんな高級そうな所で特別である事を証明すれば無料で食べれるのか!と。
逆に男は困った。
男は特別な物なんてなかったからだ。
そこで男はその場で逆立ちしたり、変な顔をしたりした。
当然だが、そんな事では入れるハズがなかった。
男はどうしても入りたくなった。
一体、中にはどんな特別が奴がいるのか気になってしょうがなかった。
思わず受付の男に聞いた。
「中に入ってる奴は当然特別なんだな?」
「はい。中に入ってるお客様から従業員も全て特別です。」
「どんな奴がいる?」
「お客様では一国の大統領、一流のスポーツ選手、大物小説家、人気歌手、若手女優などです。従業員も勿論、三ッ星シェフや一流ウェイターがいます」
特別とは、やはりそういう事か。
なら尚更オレには入れない訳か…
じゃあ…
「じゃあアンタも特別なんだな?」
「はい。私も特別でございます。」
一見普通に見えるこの中年男性が特別…。
何が特別なんだ?学歴?育ち?人?
なら特別じゃないオレはなんだ?普通?普通ってなんだ?
…オレは、オレだ、そうだ。
「オレは、オレだ!他にオレなんていない…!オレである事自体が特別だ!!どうだ!」
「…よろしいでしょう。あなたも特別です。どうぞ中へ。」
と言われレストランの中を案内された。
席に座り、受付の男は言う。
「当店にはメニューがございません。お客様にあった料理をお出ししています。少々お待ち下さいませ。」
男はワクワクした。
やっと入れたのだ。
例え、どんな物が出て来ても一流料理を食べれのだ、しかも無料で。
そうこう考えてる内に料理が来た。
そこには。
「なんだコレは?絵に描いたステーキじゃないか?ふざけてないで料理を出せ」
ウェイターは言う。
「これがお客様にあった料理です。どう食べるかは、お客様の自由です。勿論食べないのもいいです。ただし、その場合は自分は特別じゃないと認めたとして 罰があります。では、どうぞ召し上がれ」
「ば、罰ってなんだ!?」
「それは特別な罰です。そして罰に関しての質問は一切お答えできせんのでご了承下さい。」
男はどうするか悩んだ…。
多少の後悔をしながら…。
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