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不幸 [小説]


 

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私は不幸だ。


誰からも認められないし見向きもされない。


別に虐げられるわけでもなくって侮蔑されるわけでもない。


ただ誰からも存在することを、生きていることを認められていない。


私は不幸だ。


だからいつも幸福である人達が羨ましかった。



けれども彼らが幸福なのは、不幸があるからだ。


不幸があるからこそ幸福があって、幸福があるからこそ不幸がある。

普通なんてものはそのどちらも存在しないと有り得ないものだ。


だけど、幸福であるというだけで周りに不幸を作る。


そして不幸があれば周りに幸福を作る。


そう考えることで少しだけ私はこの世界に存在を認められたように思えた。


だからこそ少しでも存在が認められるなら私は不幸でいいと思った。


私は不幸だ、知ってしまったから。


私が不幸であることで幸福が生まれるには、相手に私が不幸であることを知ってもわらないといけない。


存在も、生きていることも認められていない私には幸福を生み出すことが出来ないことを知ったから。

私は不幸だ、考えてしまったから。


私の不幸で幸福を生み出せないのなら、私には何も無い。

私が不幸であることに何の意味も無いのなら逆に幸福になれば意味が生まれるかもしれない。

その意味が周りが不幸になるということであってもかまわないと思ってしまったから。


それが酷いことと知りながらも。


私は不幸だった。






タグ:不幸 小説
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