親父 [小説]
「おやじ、飲みすぎだよ」
「飲みすぎてなんてないぞ。せがれよ、こっちにきなさい。
いいか? せがれよ。人生ってのはな、長ぁーい道のりを、クルマで走るようなもんだ」
「ええ? なんのはなし?」
「人生という道のりを走るクルマのパーツはな、いわば家族であり、友達であり、はたまた恋や、努力、勇気であったりするわけだ」
「おやじ、酔ってるよ」
「いいか? 例えば家族はタイヤ、いやエンジンかな?
恋はアクセル、友達は、ハンドルってとこか。
ま、人それぞれだが、要するに、どれが欠けても、うまく走ることができない。
つまり、それらのもんを大事にして生きていきなさいって、父ちゃんは言ってるんだよ! うぃ~、ひっく!」
「わかったよぉ、じゃあさ、おやじにとって
一番大事な部品はなんなの?」
「ん? そりゃーお前……
ガソリンだろ。うぃ~ひっく!」
2015-05-30 01:28
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