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カウンター [小説]


 

 

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バックバーに並んだ無数のウイスキー・ボトル。


今日だけはトパーズのように古い輝きを放っているように見える。



喜びも悲しみも同じ表情で受け止めてきてくれたこのバーのカウンター。


ちょうど五年前の今日、恋人が変わり、私の細胞全てが変わったことを確実に覚えているのかも知れない。


けれども今ここにいる私は五つ年を重ねた、ただの女。



愛を奉仕と勘違いした、馬鹿な自分には安っぽい言い訳しか残っていなかった。



それすらも言い訳。


カウンターの向こうでは、馴染みのバーテンダーがシェーカーを振り始めた。



朝露のようなしずくを落としたショート・グラスを私に差し出し。



「五年前にも同じものを頼まれたんですよ」

と私に差し出した。


私はそれを口に含むと声を挙げて泣いた。






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