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夢の甲子園 [小説]


 

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野球は俺たちにとって青春そのものだった。


何も考えず泥まみれになって、夜遅くまで続く練習の日々。


ただひたすらに白球だけを追っていた。

炎天下の中、彼女と海へ遊びに行く友人たちを横目に10代の青春をそれだけに捧げた。

それでも不思議と辛くはなかった。

俺たちには目標があったから。


そう、甲子園に出場するという目標が。


しかし肩書きだけの監督は、興味なさそうに言い放った。



「お前たちじゃ、甲子園に出られない」と。

震える肩。


こみ上げる怒り。


「どうして、そんなこと言うんですか!?」


泣きたくなるのを我慢して、俺が言った。


俺たちがどれだけ必死になって練習してきたのかを、監督も見ていたはず。



どんな気持ちで、どれだけ泥だらけになって白球だけを追いかけていたのか知っていたはず。


いくら監督でも、言っていいことと悪いことがある。



きっとみんなの気持ちも同じことだろう。



「仕方ないだろう」

だが相変わらず監督の反応は冷たかった。


椅子に腰掛けたまま、読みかけの本から顔を上げることさえなかった。



「だって、お前たち大学生なんだから」






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