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別れ話 [小説]


 

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「別れてくれ」

彼から別れを切り出された時、私の心は引き裂かれ、体がばらばらになったようだった。
 


「もう、君と一緒にいることが耐えられないんだ」
 

彼は、そう言うと立ち上がり、私の部屋を出て行こうとした。
 

私の右手が彼の左手首をつかんだ。
 


「行かないで!」
 

私の左手が彼の右脚をつかんで引っ張り、彼を横倒しにした。
 

私の左脚が彼の首を押えこみ彼の動きを封じた。
 

私の右脚は玄関に走って行き彼の靴の片方に跳び込み、私の胴体は彼の退出を阻むべくドアの前で仁王立ちになった。
 

私は顔だけテーブルに載せて彼を睨みつけて、こう言った。
 


「ぜったい、別れてやらない! 」
 

ほんとうに苦しくて、私は心が鬼と化し、体がばらばらになっていた。






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