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デスノート [小説]


 

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本を買った。


しかしそれはとても本と呼べたものではなかった。


タイトルは書いていないし中身もすべて白紙である。


「なんだこれは」

真っ黒な表紙に興味を持ち衝動買いした自分を責めた。


そんな本を恨めしく思いながら延々と続く白紙を無意識にめくっていると、最後のページにわずかたった一行、とても鮮やかな黒いインクでこう記してあった。



「この本は暗い空間でお読みください」



「そうか、蛍光インクか」



僕の頭の中で軽い電流が走った。


そうだ。

文字の書いていない本などないのだ。

その文字を特殊な方法で印字して、暗闇の中で光るようにしてあるんだな。


なるほど、千五百円も出して損するところだった。


読まずに捨てるところだった。


僕は気付いた自分を褒めた。


早速その夜、僕は厚いカーテンを閉めて蛍光灯をつけずにその本を開いてみた。



とてもどきどきした。


その本を開いた感触は確かにあった。


しかしなにかがおかしい。


僕は天井に向かって仰向けに寝ている。


本はその上にある。


つまり何が言いたいかというと、僕の背中には薄い布団一枚しかないはずだ。


僕の背中に何かが触れている。



得体の知れない黒いものが。






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