SSブログ
 
 

紅葉と妻の死因 [小説]


 

10665239_348371785329845_8768563731229527196_n.jpg


もう 夏は終わろうとしている。


私がこの山に来るのは2年ぶりだろうか?


まるで深海のような空の下

今年は この山の木の前に立っている。


冷えた空気の中では

樹の匂いが心地よい

この木を見ても

もう妻のことは思い出さない。


赤オレンジの紅葉をつけ

この山を彩る色素の一部

埋めた妻の栄養を得て

薄い赤色の葉をつける木


その紅葉を見て 私は

ただただ 秋がきたのだと思うことだろう。


この手で絞めた感触も

もはや私には無い

幹の切れ目に 

妻の時計をねじ込んで

私は夏の終わりを感じながら山を後にした。






タグ:紅葉 小説
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。