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殺人者 [小説]


 

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遠い町で、殺人があった。



被害者は小さな女の子で、乱暴されて殺されたらしい。

すぐに捕まった犯人は、女の子とはなんの面識もなく、ただたまたま擦れ違っただけだとか。

動機を聞かれ、犯人は「ムシャクシャしてやった、誰でもよかった」と答えたそうだ。


そんなニュースを見た頃からだった。


酷い頭痛とそれによる吐き気、原因不明の高熱で、体が怠くて仕方がないのだ。


何度 病院に足を運んでも、原因が分からない。

薬も効かない。


意識朦朧としながら、俺は一人 自宅の布団の上で呻いていた。

このまま死ぬんじゃないだろうか、それほどの苦しみだった。

なんとか救急車を呼ぼうと、枕元に置いたはずの携帯電話に手を伸ばすが、どういった訳か、届かない。

まるで誰かがわざと遠ざけているようだ。



あまりの高熱に、幻覚でも見ているのかもしれない。


だけどもう、体力も意識も限界だった。


ぐったりと脱力したまま、意識を失いかけている俺に、どこからか可愛らしい声が聞こえた気がした。



「ごめんね、誰でもよかったんだけど……」






タグ:小説 殺人
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