豚と空 [小説]
空は黒い。
厚い雲は光を通さず、真っ暗な闇を地上へ降ろす。
なんで?
初めて感じたのは、駅を出てから。
なんで、雨が降り出さない?
お昼前、でも夕方の暗さ。
なのに雨の気配も臭いも感じない。
好都合、そりゃそうなのだが、やはりいつもと違うと不安。
傘が欲しい。
コンビニはこの辺には無いし、雑貨やなんかじゃ傘は無い。
暗い空はますます厚く、暗く、空の上で成長していく。
ほら、何か降ってきそう。
豚かな……そんな本読んだっけ。
空から豚が降ったら、地上は地獄。
たたきつけられて破裂した豚の死体……
おっと、気持ち悪い、考えない考えない、豚が降るわけ無いじゃない。
魚かな……
世界のどっかで降ったって聞いたな。
さんまが食べたい。
サバは嫌い。
鯛だったら煮込むかなぁ……
いやだ私うなぎは、さばけないわ……。
カエルかな、そんな気象条件があるらしいけど……
カエルが降ってきたらとりあえず、よけよう。
別段嫌いじゃ無いけど、頭なんかには落ちてきてほしく無いわぁ……
ぽつ……
空から降ってきて、頭に当たった。
髪が濡れたのを感じて、ため息を付く。
雨が降ってきたわ。
早く傘探さないと……
はぁ、日常に少し刺激が欲しい、
2015-07-03 03:11
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